オキョア・ドキュメント

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Tatisの復帰とTDL以降に向けたパドレスの展望

なんか長々と書いてしまいそうなことだったので今回はこっちで。

 

左手舟状骨骨折で開幕から離脱してたFernando Tatis.Jrがようやく打撃練習を開始したらしい。

The Athleticのパドレス担当・Dennis Linさんによるツイートの動画を見る限り、思っていた以上に振れてるなという感想。久しぶりにフォーム見たけどやっぱりカッコいいなぁ。

 

ただ、パドレスの一ファンとしてはTatisに今季中は無理しないでほしいなぁという気持ち。

というのも、The AthleticにDennis Linさんが寄稿した記事によると、今回骨折した舟状骨は治療が遅れれば遅れるほど手術が完璧でも回復が進まなくなる部分らしい。

Tatisの場合は、去年の12月のバイク事故を起こし、その後練習していたものの、2月にスイングをした際に違和感が生じて骨折が発覚、3月に手術といった格好。バイク事故の段階で骨折したかどうかは正確には分からないものの、2月前から骨折していた見解はなされているということで、バイク事故が原因でないにせよ、治療開始までに時間がかかっている状況は明らかと言える。

パドレスは現状ワイルドカード圏内にいるものの、昨季の本塁打王であるTatisの欠いた打線は全体的に見れば開幕から大不振。チーム本塁打数は全30球団中25位の81本、OPSは同23位の.689と、投高打低のペトコパークを本拠地にしていることを考慮しても寂しい数字だ。個々に目を向けても頼りになるのは打率.301、16本、54打点、OPS.881のMachadoくらいで、あとは軒並みOPS7割台前半がスタメンに並ぶ現状。開幕前にNYYから獲得したVoitについても12本、OPS.726とTatisの穴を埋めるほどの活躍は見せられていない。

所属するNL西地区では勝率.667を誇るドジャースが地区優勝に向けて絶好調。パドレスは去年のWS覇者ブレーブスや同地区のジャイアンツなどとの激しいワイルドカード争いを勝ち抜くことがポストシーズン進出に向けて絶対条件になりつつある。これに加えて打線が低調ともなれば、安定した戦いをするべく、早急にTatisが復帰できるならしてほしい状況なのは間違いない。

しかし、前述に挙げた骨折の経緯も考えると、やはりもう少し様子を見る必要があるのではなかろうか。それに今回の骨折を抜きにしても、一昨年の左ハムストリングスの負傷、去年の脱臼含めてとにかく怪我が多い選手。それにまだ契約が13年も残ってる(+全球団トレード拒否権付き)ことも考えたら、今年チームが2年ぶりのポストシーズン進出のチャンスがあるとしてもこの段階からなかなか無理させられないのではないかと思うのだ。

 

とはいえ、Tatisの復帰に目処がつくとなると、トレードデッドラインまでの補強の方向性がつくことにもつながる。現状ではナショナルズのSoto獲得に向けて、カージナルスとともに一歩リードしている状況とのこと。後半戦はTatis復帰+Soto獲得ともなれば、Machado個人軍と化している打線の大幅強化になるのは言うまでもない。また、仮に獲得できなかったとしても、Tatisの復帰が最大の補強と考えて、投手陣の補強に力を注げるのではないか。

意図せずに6人ローテとなってしまっている先発陣は、Musgrove、ダルビッシュ、Manaeaが100イニング以上を消化し、規定投球回に到達。一方で、Gore、Snell、Crevingerは不安定な投球に加えて、イニングを稼げない投球が続いている(SnellとCrevingerは怪我明けということもあるが)。さらにGoreについては、昨日肘の痛みでIL入りしてしまった。

となると、この皺寄せはリリーフ陣に向くことになる。しかしながら、2019年に阪神でプレーし、昨季もブルペンの一角を担っていたJohnsonは肘の炎症で開幕直後にIL入り。同じく昨年まで阪神の守護神で今季からパドレスでプレーするSuarezも膝の故障で離脱中と、リリーフ陣もまた苦しいやりくりが続いている。現状では開幕直前にトレードで獲得したTaylor Rogersが守護神を担い、GarciaやCrismatt、昨年までソフトバンクにいたMartinezの働きが特に目立っている状況だ。

ただ、そのリリーフ陣も今後に向けて不安なところが見受けられる。まずRogersについては、ここまでチーム最多の41試合に登板して28セーブ、セーブ機会はリーグトップの34回をマーク。一方で直近7登板では防御率6.43。直近30登板で見ても、防御率5.40で1勝4敗とポストシーズンを目指すチームのストッパーとしては不安定感が否めない。また、Crismattは直近7登板の防御率が6.75。Martinezは開幕から自身の調子が上がらなかったことに加えて、不甲斐ない投手陣の状態などもあり、先発中継ぎ抑えとフル回転しているが、この使い方でシーズン終盤まで持つかは疑問に感じるところだ(はっきり言って完全にMelvinのおもちゃと化してる)。

Rogersがリーグ最多となるセーブ機会を記録していることからも見て取れるように、今季ここまでのパドレスのリリーフ陣は不安定な打線、先発の苦しい台所事情もあって接戦で終盤をつながなければならない展開で登板を迎えている。今後の状況次第でもこのままリリーフに負担をかける状態が続くことが考えられるだろう。にも関わらず、リリーフでまともなのはかろうじて防御率3.41のGarciaくらい。単に成績を書き連ねるだけでは何故このチームがワイルドカード争いを繰り広げているのかと思うばかりだし、これでNLチーム8位の防御率ということも信じられない。開幕から安定した投球を続けるMusgroveとダルビッシュの奮闘ぶりに感謝し尽くすのみである。

仮にTatisが復帰できそうになければ、打線と投手陣の両睨みで補強を進めなければならなかったはず。あくまで私としては早期の復帰には慎重論であるものの、打線の中核に目処が立つことは、投手重視の補強に舵を切れる、軸足が置けるようになり、今後の編成的に大きなメリットになろうかと思われる。

 

Tatisの復帰が今後トレードデッドライン、そしてチームにどのように影響してくるのだろうか。昨季のように地獄の後半戦を迎えるのか、はたまた今季こそは昨季の反省を活かして粘り強く上位に食らいつけるのか。これからのパドレスの動きは全てTatisにかかっている。